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カテゴリー「<!ー310考察、概説ー>」の記事

2022年7月12日 (火)

その3 天気予報を上手に利用するために

 

(本記事は、以前から既に準備していた原稿の貼り付けです。)


ここまで、その1では五目漁師が愛用している天気予報とその利用の仕方、そして、その2では天気予報の基本になるGPVについてまとめてみた。
最後にその3では、GPVから天気予報を作成する意味やそれを知った上での五目漁師の天気予報との付き合い方などについてまとめておこう。

なお、天気予報会社が予報の仕組みについて一々公表しているわけではないので、内容については五目漁師の想像に負うところが多い、あくまでも自分メモとしての位置づけであることに変わりはない。

さて、いよいよ最終段階としてGPVから天気予報を作成することになるが、ここでやる主なことは次の2つであろうか。

① GPVはその2に書いた通り、あくまでも天気予報の前段階の格子点データである。
一方、予報したい地方や街、更には釣り場はGPVの格子に合わせて整然と並んでいるわけではない。
そこで、格子点データを利用して予報点のデータに変換する必要がある。

そもそも、数値予報の最初の段階では世界中にバラバラに散らばった観測点のデータから格子点データを作成して計算の初期値を作成しているが、今度はその逆に寧ろ格子点間(20kmや5kmの間)を埋めていく様な操作が必要になる。

② その2で、人気のGPV気象情報には誤差が存在するために補正が必要との注意が明記されていると書いた。
GPVの数値計算では初期値の不確かさや地形のまるめ操作(これによって、富士山の標高が低くなったり、初島が消えてなくなったりしている)などによる誤差が存在している。
このような誤差要因は多種多様にわたるが、その結果として特定の予報点にいつも現れたり、特定の季節に表れたりする(例えば、伊東の海岸線の風模様はいつもこのGPVのデータから作成した天気予報よりも一回り強く吹くし、風向も東側にぶれていることが多いといった様な)お決まりの癖(バイアス誤差)が含まれていることがある。
このような癖は統計的に処理することにより補正することができる。
どのような方法で補正するかは、それぞれの予報会社の実力の見せ所となってくる。

例えば、五目漁師が愛用している海ナビでは全国7500ポイント、釣り天気.jpでは、なんと全国27500ポイントもの釣り場の予報点があるために、何れにしても、個々の予報官や予報士が腕を組んで一点一点ひねり出すわけにはいかず、ここでもコンピューターの活躍の下、各社自慢のアルゴリズムによって統計的に天気予報が作成されていくに違いない。

これら2点によってGPVでは表現ができなかった例えば釣り天気.jpでは伊東のマリンタウン下とか熱海沖の風予報とか、海ナビでは伊東の潮吹公園とか熱海の初島とかの釣り師が欲しいポイントの風予報ができるようになる。
1_20220712112601
釣り天気.jpの予報釣り場の一例
(釣り天気.jpのホームページより一部をコピー&ペースト)


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海ナビの予報釣り場の一例
(海ナビのホームページより一部をコピー&ペースト)


ただ、これとていくらでも細分化するわけにはいかず、愛用の天気予報でも例えば初島の風表と風裏の風速が明らかに考慮されていると感じるほど分解能の高い予報はなく、やっと大島程度になってくると差があるかな? 程度であろうか。
天気予報会社がどこからGPVデータの供給を受けているかはわからないが、例えば釣り天気.jp海天気.jpはユーザーから見れば別の天気予報でどっちがよく当たるの? と比較したくなるが、実は、変な話だがこれらは同じ予報会社が予報している。
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釣り天気.jpのホームページより一部をコピー&ペースト)

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同じ時刻に同じ時刻を対象とした釣り天気.jpと海天気.jpの予報例。
海天気.jpのホームページより一部をコピー&ペースト)


同じ会社の予報がこんなに違うとは一体・・・と思ってしまう。
一度、メールで明らかに同じ予報会社が異なる予報を公表しているって一体どうなんですか? と問い合わせてみたことがあるが、
“申し訳ありません、今後より正確な予報ができるように努めていきます” と軽くあしらわれてしまった。

つまり、予報している会社自身が現在の予報技術ではどちらが正確かは分からないのでユーザーの方で判断してくれということだろう。

このようなことは他にもある。
先に挙げた愛用する天気予報の中には入っていないが、これも人気の海快晴という天気予報では堂々と2通りのGPVを基にした天気予報を併記しているし、先のWindyでも数種類のGPVを基にした天気予報を切り替えてチェックすることができる。
ご丁寧に比較検討しやすいように4種類の元ネタによる予報を並べて表示することもできる。
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ECNWFによる週間予報
(Windyのホームページより一部をコピー&ペースト)


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GFSによる週間予報
(Windyのホームページより一部をコピー&ペースト)


裏を返せば“予報は時と場合によっては当たりませんよ”と言っていることになる。

そこに行くと気象庁の天気予報GPV気象情報はさすがに真面目だ。

実は、10日間や2週間にわたる長期の予報は数値予報には違いないがアンサンブル予報という手法を用いている。
これは、長期にわたる数値計算の結果が期間が延びるとともに次第に不正確さを増してくることを承知の上でわざと計算の初期値に微妙な差を待たせて複数の計算を実施し、ばらついた結果の平均値を予報として出力する方法である。

計算が正確であればバラツキ(分散)は少なく、不正確であればバラツキは大きいとしてバラツキの大きさをA,B,Cの3段階に分けて週間予報の結果と同時に示している。
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3日以降の予報に関しては信頼度A,B,Cが合わせて表示される。
気象庁のホームページより一部をコピー&ペースト)

これは、いわば予報は正確ではないことを承知した上での親切な表現方法と言える。
もちろん、一般的には期間が長くなるにつれてA→B→Cと信頼度は落ちて行く傾向があると考えられるが、実際の大気の状態によって計算が当てはまる状況や計算が当てはまらない複雑な状況などがあろうことは想像ができるので、3日以上先の予報をチェックする時には有意義な情報となる。

何れにしても予報する側が当たらない(ことがある)と言っているのでこんなものを100%信じて命を掛けるわけにはいかない。
少しでも確実性を高めるために、五目漁師の場合にはいくつかの方法で自分なりに予報の確実性などを確認するようにしている。

天気図上の低気圧や高気圧の配置、等圧線の込み具合などは日本全体を覆っているので、個々の釣り場の風予報としては何の参考にもならない。
ただ天気の安定性や全体的な風の強弱などは何となくここから見て取れるので、その程度に参考にする。

次の行先が決まると、その時点から日々変化する予報をPC上で画面コピーし(過去の予報は新しい予報の度に消されて行くため)変化傾向(風が弱くなっていくのか強まって行くのか、雨は上がっていくのか強まって来るのか)などを各社の予報毎に並べてPC上でチェックするようにしている。
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5月8日8時23分にキャプチャーした5月11日の予報
釣り天気jpのホームページより一部をコピー&ペースト)

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5月9日16時45にキャプチャーした5月11日の予報(釣り天気.jpのホームページより一部をコピー&ペースト)
時間を進めた2つの予報を比較すると、天気が良くなる方向に変わるとともに、風が次第に強まってきていることがわかる


(こんなことをやっている間に、一方でボートの予約がどんどんと詰まってしまい。やっと納得できる予報が定まってきたころにはボートがなくなっていることはよくある)。

予報の確実性がないとなればもう一つの考え方は、確実でなかっても大きくは外れないエリアであることを確認することであろう。

GPVでは地形の平均化によって小さな半島や島などの影響が見えなくなっているといったが、それでも外海が真っ赤かの中にあって、岸沿いの特定のエリアだけが紫や青になっていることはよくある。
周りの地形の影響によってこのようなハッピーポイントが現れることは理解できるが確実性の観点から見れば、ちょっとした風向のバランスなどで容易に領域が移動したり、狭くなったり逆に広がったりする怖いポイントだと認識するようにしている。

3回にわたって五目漁師の天気予報の利用の仕方などについてまとめてみた。
最後に、本文中で利用した図は、たまたまPCの中に残っていた図を探し出して使ったため統一性がなく日付の古いものもある。
また、気象庁Windy に関しては一定のルールの下で該当のホームページからの図や表のコピーやそれらの一部分を切り出してブログなどで再表示することが許容されているが、多くの気象会社では禁止されている。
今回は最小限にとどめたが勝手に利用させていただいた図もあるので、更に再利用される場合にはご注意いただきたい。

 

歳を食ったせいか、昔の様に蒸し暑さを感じなくなっているような気がする。
それでもこんな時には涼し気な料理が良い。
伊東で釣って冷凍保存していた真鯛のカルパッチョと焼き真鯛ソーメン。
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釣り記事の合間の記事にしようと準備していましたが、連投になってしまいました。
面白くない内容ですがご興味のある方はご覧ください。
私の方はますます天気予報には敏感になりそうです。

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2022年6月24日 (金)

その2 GPVに関して

 

釣行の合間の記事のつもりだったが、今週は海に出るチャンスを逸してしまい、天気予報記事の連投になってしまった。

その1では五目漁師が、日頃愛用する天気予報と利用の仕方についてまとめた。
今回はこれら天気予報の元になっているGPVについて理解している範囲でまとめてみよう。

現代では天気の予想は占いや、勘、観天望気などではなくスパコンを駆使して計算で求めている。
各国、各機関で様々な様式で天気の予想を計算しているが、いずれの場合も下の図のように予想対象領域(図の場合は地球全体)を3次元の格子状に区分けして、その格子点の気象要素を少しずつ未来に向かって時間を進めながら計算するやり方は変わらない。

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全球モデルでは地球の表面全体を格子状に立体的に区分する。
出典:気象庁ホームページ、知識・解説、数値予報とは

格子点を設定した上で、スパコンによる数値予報は下図の様に進められる。
Gpv
気象庁ホームページ、知識・解説、気象に関する数値予報とはより図をコピー&ペーストし矢印と文字を付け加えた。)

図の説明:
先ずは、①国際協力の下に全世界に配置された多種多点の観測点から最新の観測データを収集する。
②これらのデータから明らかに間違ったデータや特殊なデータを排除(品質管理)し、全ての格子点の気象データを計算の初期値として決める。
③スパコンで一定時間後に各格子点のデータがどう変わるかを計算し、各格子点のデータとしてGPV(Grid Point Value)を出力する。
④GPVは各天気予報会社に配信され天気予想に加工されて予報として発表される。



繰り返しになるが③で出力された格子点データがGPVと称される。
日本では気象庁や大学などの研究機関が、世界では米国海洋大気庁、ヨーロッパ中期予報センターなどが地球全体を対象にしたGPVや地域を限定したGPVを計算している。
この図にあるように、GPVは、一般的な天気予報をするための前段階の気象情報と言える。
前回、五目漁師が愛用している天気予報の1つとして挙げたGPV気象情報がGPV天気予報とは言わず、敢えて気象情報としているのはこのためであろう。

このGPV気象情報はボート釣り師の中でも常に、当たる/当たらないの比較対象として名が挙がるほど人気があるが、そのトップページには利用上の注意として、
“これは天気予報ではありません、天気予報として利用するためには誤差補正をする必要がありこれができない場合には、GPVから作成される所謂天気予報をご利用下さい”
という主旨の注意が明記されている。

今回は、ややこしそうなこのGPVについてもう少し掘り下げてみたい。

国内には数多くの民間の天気予報会社があるが、これらは何らかのGPVデータを入手し、それに手を加えて天気予報として発表している。
つまり、スパコンを使って自らGPVを計算するなんてことは個々の天気予報会社の規模ではなかなかできないので気象庁などからGPVデータを入手し、それを独自の方法やノウハウで加工(格子点データから実際の予報地点のデータに内、外挿したり、癖のあるデータを補正したり)して天気予報として発表している。

従って、ここで入手するGPVデータが外れていると、いくら個々の予報会社が頑張ったところで間違いを修正することはできないし、更に予報会社がGPVに手を加える段階で間違ってしまうとこれも予報を外してしまうことになる。
結果的に今日はこの予報は当たったが、こっちは駄目だった、あるいは、いつもこの天気予報は当たらない・・・となる。

では、何故GPVのままでは駄目なのか、どんな補正が必要なのかなどについて五目漁師が理解している範囲でもう少しまとめてみよう。33
出典:気象庁ホームページ、知識・解説、気象に関する数値予報モデルの種類


気象庁がスパコンで計算している主なGPVには上の図に示したようにGSM(全球モデル)MSM(メソモデル)LFM(局地モデル)の3種類がある。
種類による大きな差異はGPVの一番大きな要素である格子間隔(水平解像度)である。
数値計算の計算点となる格子点は地上の2次元平面だけではなく上層に向かっても多層に積みあけられているが、GSMでは平面的な格子間隔は20km、MSMでは5km、LFMでは2kmとなっている。

スパコンによる数値計算では各地点の気象要素(気圧、気温、風、水蒸気量等)や地形データから地点の標高などを代表する格子点の値を読み込み、少しずつ将来に向かって時間を進め、一定時間後の同格子点の気象要素がどのように変化していくかを計算するが、データの読み取りも計算結果の表示も所詮GSMなら20km毎、MSMなら5km毎となってしまう。

現実の気象要素はそもそも連続的に変化するものであるし、それに影響する地形も山あり谷あり、富士山があり、東京湾には猿島がありとなるがスパコンが計算するのはあくまでも格子点間隔毎であり、飛び飛びの離散的なデータになってしまう。
離散的であることの悪影響を少しでも解消するために格子点の気象要素も地形データも格子点直下のデータではなくその周りの代表的(平均的な)値を持たせ計算しているが、所詮GSMなら20km毎、MSMなら5km毎の気象要素であるには変わりはない。

平均化することによって富士山の標高は低く平らになってしまう。
三浦半島はやっと細い小指の様に残るかもしれないが、出入りのないのっぺらぼうになっているに違いない。
猿島はもちろん、初島の様な小さな島は消えてなくなってしまっているだろう。

その結果、数値予報で実用精度が得られるのは格子間隔の5倍~8倍程度とされている。
つまり格子間隔が20kmのGSMでは、そもそも100km以上に及ぶ大きな天気要素の変化しか予想できなことを意味している。

例えば、一つの低気圧や高気圧が地上に影響を及ぼスケールは2000km程度と言われているのでこれらを表現するためにはGSMの分解能で十分と言える。

一方、MSMなら実用精度は30km*1程度になるので、例えば房総半島や伊豆半島レベルの降水予報や風予報がなんとか可能になるといった程度であろうか。

手漕ぎボート釣り師が欲しい初島の北側のといったり、南側のといったりするところまで実用精度を上げるためには格子間隔を更に狭くすれば良いが、悲しいかな地上にはそんな間隔に見合うだけの観測点はない。 
また、それに応じて格子数がどんどん増えてくると計算機に必要なリソースは指数関数的に増えるために、今度は予報範囲をどんどん狭くしていかざるを得ない。
現にGSMの予報範囲が地球全体であるのに対して、MSMでは日本列島周辺に限って関東地方、東北地方といった区分ごとに県単位の予報をしている。

因みに、おなじみのGPV気象予報の画面で左側のフレームにあるモデルで広域を選択するとエリアでは西日本や東日本が選択でき画面には日本列島の2/3くらいが1画面で表示される。
そして、画面の左上にJMA GSMと表示される。
これは、気象庁のGSMモデルを意味している。
Jma-gsm
(GPV気象情報のホームページより一部をコピー&ペースト)

一方、モデルで詳細を選択するとエリアでは関東地方、中部地方といったやや細かいエリア選択ができる。
この時、左上にはJMA MSMと表示され、気象庁のMSMモデルであることを示している。
Jma-msm
(GPV気象情報のホームページより一部をコピー&ペースト)

我々関東圏の釣り師は、当然のことながら詳細モデル(39時間)、関東を選択した上で風速や雲量などをチェックすることになる。
その画面には風速毎に色分けして風向を示す小さい矢印が表示されている。
伊東や大津と言ったお目当てのポイントをもっと詳しく見たいために目を凝らしたり、何とか地図を拡大しようとするのは釣り師の気持であるが、それは叶わない。
先に記したようにMSMなら格子間隔は5kmなので矢印の間隔は5kmが最小でそれ以下の間隔で示せと言われてもそれは無理となる。
仮に画面は大きくできたとしても矢印の密度は変らない。

数値予報というか天気の動きにはもう一つ特徴的な法則がある。
つまり、大きな現象はゆっくりとおおらかに変化するが、細部の現象ほど速くせせこましく変化するという傾向がある。

速く変化する動きを捕えるためには当然のことながらスパコンによる計算間隔を短くする必要があるし精度も高めなければならない、そうすると、ここでも計算機のリソース問題や計算精度の問題が出てくる。
GPV気象予報では広域が対象のGSMなら264時間後まで、地方が対象のMSMなら39時間後までしか表示できないというのはこんなところに理由がある。

因みに、2017年6月からGPV気象予報の弟分(と五目漁師は位置づけているが)SCW天気予報のサービスが始まった。
ここでは、格子間隔が2kmのLFM(局地モデル)の結果が従来のGSMやMSMに合わせて発表されている。
確かに表示される地図も大きくなり精度は2.5倍に上がているが、先に述べた理由で予報時間が9時間と短くなっている。
9時間ではボート屋さんに予約してからの予報しか見られないので五目漁師が利用することはあまりない。

以上、気象庁が予報しているGPV(JMA GSM、JMA MSM)について記したがこの手の気象予報は他にもある。
世界的に有名なものとして米国海洋大気庁によって提供されるGFS、ヨーロッパ中期予報センターが提供するECMWFなど。
(これらはGPV気象予報でも試行的に一部に取り込まれている。)

GPV気象予報と並んで釣り師の間では人気があるWindyではこれらの主要なGPVを基にした天気予報を統合的にしかも相互比較も含めて示してくれる。
特に画面に予想結果を表示するユーザーインタフェースは至れり尽くせりの俊逸な天気予報であるが、少なくとも無料ベースではGFSの格子間隔は22km、ECMWFのそれは9km、即ち気象庁のモデルのGMS(全球モデル、格子間隔20km)に対応するものであり、気象庁のMSM(メソモデル、格子間隔5km)に比べるとやはり手漕ぎボート釣り師にとっては頼りないと言わざるを得ない。(素晴らしいユーザーインターフェースによって精度的な劣勢は隠れてしまっているが)

以上天気予報の元になるGPVについてまとめてみた。
次回はGPVを使って作成される天気予報の実情などについてまとめておしまいにしようと考えている。

 

さて、少々時間がたってしまったが伊東で釣って冷凍保存していたレンコダイで久しぶりにパエリアを作った。
本場ではムール貝を使うようだが、我が家ではいつもアサリを使っていた。
産地偽装問題でそのアサリがスーパーから消えてしまったために代わりにエビを使ったみたが、こっちの方が見栄えは良い。
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*1:元20kmを30kmに修正。(6月25日 0時6分)


来週はなんとか釣り日和がありそうですね。
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2022年6月20日 (月)

その1 五目漁師が愛用の天気予報と利用の仕方



一般的には天気予報で一番気になるのは、果たして晴れるか、雨が降るか。
しかし、手漕ぎボート釣り師がそれ以上に気になるのは風だろう。
視界さえあれば、雨が原因で戻れなくなることはないが、風は怖い。
強い風が逆から吹いてくれば戻れなくなるどころか沖に流されてしまうことだってある。

今は行くことがなくなったが福浦の中深場に手漕ぎボートで漕ぎ出ていた時には、1週間以上も前から日々変わる予報をチェックしながら細心の注意を払ってgo/no goの判断をしていた。
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当らないと言いつつも、釣りの予定は結局のところ天気予報に頼らざるを得ない。

そこで、少し解説っぽくなってしまうが、これも自分ノートとして五目漁師が利用している天気予報についてテーマ毎に何回かに分けて、釣行記事の合間にまとめてみることにした。

先ずは、五目漁師が愛用の天気予報と利用の仕方から。

五目漁師が、現在よく利用している天気予報は
tenki.jp-釣り場の天気
GPV(SCW)気象予報
釣り天気.jp
海天気.jp
Windy
海ナビ(有料)
そして予報のチェックというよりも天気に関する一般的な情報サイトとして気象庁のホームページといったところであろうか。

それぞれ当る/当らないは置いたとしても一長一短がある。
五目漁師の場合は、次は、どこでどんな釣りをやりたいかを念頭に、先ずは1週間くらい先の釣行予定を立てる。
tenki.jp釣り天気jpWindyは10日先までや14日先までの天気予報を無料で提供してくれているので、これらで天気や風をチェックしながら日取り候補(365日連休なのでいつでも変更できる)をあげる。

尤も、これらの所謂、週間天気予報は2、3日後を対象にした予報とは予報の手法も異なり(後述)信頼度が低いことは承知の上である。
国内の天気予報の総元締めである気象庁の天気予報は釣り師から見ると、あまり便利でもなく、面白くもないので滅多にチェックすることはないが、3日以降の週間天気予報に関してはその予想の信頼度に対してA、B、Cのランク付けをしているので、更に真剣に日取りを決める時にはこれを参考にすることもある。

やがて、釣行予定日が3日弱以内に入ってくるといよいよ真剣モードで予報をチェックする。
釣り天気jp海天気jp、有料の海ナビは正に釣り場に特化した天気予報で釣り場毎の予報を提供してくれるので、沖は無理そうだが岸近くならといった判断の参考にもなる。

因みに、概況チェックとして日頃一番よく利用するtenki.jp(釣り場の天気)は、釣り場の天気と銘打ってはいるが、これは釣り場がある街(例えばその街の駅や市役所周辺)の天気予報と理解しておいた方がよく、波止場や港、まして海上の天気予報ではない。

更に、いよいよ時間が迫ってくるとGPV(SCW)気象情報なども加えて、相互に比較しながら釣行日前日の夕方までチェックし続けている。

昔は下駄を放り投げて表になれば明日は晴れ、裏返しになれば雨と占っていたが、現代の天気予報は、余程短時間の予報でない限り数値予報という手法を使ってスーパーコンピューター(スパコン)で計算している。
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お陰で、雨の有無などに関しては、明日は3時ごろから雨が降ると予報されると、本当にその時刻になると降ってくるから下駄世代の五目漁師などは感心するやら、びっくりするやらしてしまうこともしばしばある。
ただ、手漕ぎボート釣り師が一番気になる風予報に関しては感心するほどでもなく、こんなはずではなかったのに・・・と予定していた沖流しを中止したりすることなどは珍しくない。

天気予報の中で風速の予報が一番難しいと聞いたことがある。
例えば、行ったことはないが初島やもっと小さい猿島でさえも風表と風裏では風向も風速も大きく変わってしまうだろうが、表側は晴れているのに裏側では雨が降っているなんてことは普通では考えられない。
つまり、風は地上の半島や島、更にビルなどによって、いとも簡単に影響を受けてしまう。
雨に比べると変化のスケールが小さいために現状の天気予報のスケールでは釣り師が期待する風予報は難しいということであろう。

これについてはまた後述するとして、風に関してはマクロな風向や風速を天気予報で念頭に入れながら現場の空模様、海上の波模様や耳元でざわめく風模様からここ数10分後の風を自ら判断し注意することが重要になってくる。

次回は、天気予報の基本になるGPVについて五目漁師が理解している範囲でまとめてみよう。


さて、先日釣った小型のイトヨリは3枚におろして軽く天日干ししてから和風ムニエルにしてみた。
なかなか、いける。
Cas227657

これで、完食。
また釣って来なくっちゃと思っていると、Gさんが千葉で掘ってきた とハマグリをタイミングよく持ってきてくれた。
砂出しに少し時間が掛かったが夜にはバター醤油焼きと酒蒸しにしワインでいただいた。

Cas227661s

Cas227662s



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2021年2月15日 (月)

ドテラ流しを考える

 

 

前回の記事で少し書いたが
自宅のネットワークの再構築作業や
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諸々のデータの整理はようやく終わった。

故障のPCは電源交換でファンは回り始めたものの
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本体は動いてくれないために
五目漁師の手には負えず
結局、修理業者にお願いすることになった。

さて、一方で釣りの妄想は続いている。

悲しいかな、
巻き巻きだけのタイラバやスロージギングの
流し釣りの成否の多くは
ボートの流れ次第と言わざるを得ないが、
何とかもっと、
前向きの釣りにしたいと考えている。

そこで昨年はこんなものを作った。
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使い慣れるにつれて
当初思った以上に使い勝手が良く、
今シーズンはますます手放せない
流し釣りの道具になりそうだ。

これと電動リールの(シマノなら)
さそい機能を組み合わせると、
巻き巻きは竿とリールにまかせて
空いた両手を使って
自在にボートを漕ぐことができる。

そこで巣ごもりの今、
仮に自在にボートコントロールができたとして
タイラバやスロージギングによる流し釣りは
一体どう流せばベストなんだろうか?
と悩んでしまう。

ボートが風や潮で流れるに任せる釣り方
(遊漁船ではドテラ流しというそうだが)は
本当にそれでベストなのだろうか
と考えてみた。

海の中の魚の様子が
そう簡単に覗けるわけではないので
いくつかの仮定や条件のもとに
考えざるを得ない。

先ず、
魚は海の中でどっちを向いているのだろうか?

よく言われるように、
あるいは釣り雑誌の絵によく出てくるように、
潮の流れてくる方に向かって
流れに逆らうように泳いでいるというのは
一つのパターンとして確かそうだ。

餌になるプランクトンを口に放り込むためには
その方が良いし、後ろ向きに泳げない魚が
同じところに止まるためには
潮流に逆らって泳ぐことが基本になるだろう。

もし、潮流に対して尻尾を向けようものなら
途端に猛スピードで
流されてしまうに決まっている。

タイラバやジグをここでは
特大のプランクトン(タコ)と考えると
魚の前方から魚の顔面に向かって
これらを流しながら巻き巻きするのが良い
と考えるのが自然であろう。
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視野が極端に広いカメラのレンズを
魚眼レンズというくらいだから
魚は人よりも周囲はよく見えているとは思うが
さすがに後ろから尻尾に向かって
ルアーを流すのはいかにも釣れなさそうだ。

更に、実際の釣りではよく遭遇する
海底の潮流と海面の近くの潮流が
異なっている所謂2枚潮状況は
ここではないとしておこう。

で、ここでドテラ流しについて考えてみる。

ボートは潮の流れと風の両方によって
流される。

今、潮によって流される要素を
赤のベクトル、
風によって長される要素を
青のベクトルで示すことにする。

先ずは基本形として
海上は無風でボートは
潮流によってのみ流される場合を考える。
5_20210218003901 
*1

魚は赤いベクトルの方向とは逆を向いて
プランクトンが流れてくるのを待ち伏せている。

一方、海上では潮に乗って
ボートも赤いベクトルの方向と速度で流れる。

つまり、この場合にはドテラ流しをすると
大好物のタコ、いやタイラバが魚の正面に
赤いベクトルの長さが示す速度で
流れてくることになる。

その速度が適当な速さであれば
当然のことながら獲物はパクッと
タイラバやジグに食いつくに違いない。
うしし。

今度は、潮流の他に
潮流と同じ方向の風がある場合を想定する。
6_20210215123401

ボートは潮流と風の両方で流されるために
さっきと同じ方向に
少し(対地)スピードを上げて流れる。

一方、風のことなどは正にひとごとの魚は
先ほどと同じように潮に逆らって泳いでいる。

ただ、好物のタコが前方から
先程よりも(ボートが風で長される分だけ)
速いスピードで近づいてくるために
例えばオニカサゴのように
動きの鈍い魚(失礼)は
タコを捕え損ねてしまうかもしれない。

逆にボートを流している五目漁師には
潮流は見えないために
丁度よい感じでボートが流れてくれる
と思っている。

ではこんな場合はどうだろうか、
風が潮流とは逆方向に吹いている。
しかも風ベクトルが
潮流ベクトルよりも大きい場合だ。
7

観音崎などと違って
潮流が比較的弱い伊東などは
このパターンが多そうな気がする。

この場合も海上の様子を知らない魚は
相変わらず潮に逆らってホバーリングしている。

すると後ろからドスン!
鉛のタコがやってきて
尻尾を叩かれることになる。

これでは釣れんわなぁ!

ボートを流している五目漁師にとっては
潮流は感知しにくいために
海底の状況が
こんなあり得ない風景になっている
とは知らずに
釣れねー、釣れねー
と流し続けることになる。

単純なパターンとして
潮流ベクトルと風で流されるベクトルが
平行である場合について考えてみたが
実際には双方は互いに無関係であるために
ドテラ流しではボートは
潮流ベクトルと風ベクトルの
合成ベクトルの方向と速さで流れる。

このためにそれらの方向と速さ次第で
タイラバは魚の眼前を斜めに横切ったり、
斜め後ろから横切ったり様々である。
8_20210215123401

例えば、(A)の場合には
タイラバは魚のやや左前方から
右後方に横切っていく、

B)の場合には
ほぼ前方から接近してくる。

C)の場合は
右後方から近づいてくるために
ぼやっとしているとゴツンとやられるか、
食いっ気がある魚なら
慌てて追っかけることになる。

D)の場合には
ほぼ前方からなので方向としては良いが
海上の五目漁師は
いつも等速で巻いているにも関わらず
接近速度が風の分だけ
速くなっていることに気付いていない。

こんな中でも
常にタイラバを魚の顔面に向かって
適当な速さで流したい。

さて、どう漕げばいいのだろうか。

答えは簡単なことに
今更ながら気付いた。

要は、魚には風が見えていないために
常に潮に向かって泳いでいる。
つまり、海上のボートは
ドテラ流しなんかではなく
常に潮流と同じ方向に、
魚に接近したい速度差分だけ
潮流の速度と差をつけて漕げばよいことになる。

風がどんな風速で
どっちからどう吹いてこようが
このルールは正しい。

そんなボートコントロールが
できるかどうかは別として、
ここで活躍してくれるのが初めに書いた
竿立てと誘い機能の付いたリール
ということになる。

うまく漕ぐには熟練が必要だが
少なくとも両手が空いたことによって
真似事はできそうだ。

と、ここまできて、
ハタと気付いたのが次なる難関。

五目漁師には絵で描いたような
潮流ベクトルと風ベクトルが
目視できるわけではない。

魚探の航跡から
合成ベクトルの方向と速度は分かるが
潮流ベクトルが検知できないと
結局はどっちを向いて
どれくらいの速さで漕げばよいのかは
わからない。

アフォくさいと思われるだろうが
暇というのはこんなもので、
どうすれば絵にある赤のベクトルが
海上で検知できるだろうかと
一生懸命考え始めた。

前出のタイラバ素材を作りながらも、
ネットワークの見直し作業をしながらも、
ベットイン(うそ、和室の布団に潜り込む)
してからも
海上の様子を思い浮かべながら
なんやかんやと考えてしまう。

ボートから
弛ませた紐を流してみたらどうだろう、
それなら浮きに針金を付けて
その先に紐を付けて
放り投げる方がいいだろうか、
9

少し手間と時間が掛かるが一旦アンカーを入れて
ボートを風ベクトルに固定した上で
ボートから紐を流すのが一番確実そうだな。
でも潮流は結構頻繁に変化するので
こんなことは一々やってられないだろう・・・

で、結局竿から垂れる道糸の角度で
判断することに落ち着いた。

感度は鈍いが、もともと
厳しい精度を要する類のものではないので
取りあえずはこれでやってみよう。

結論は簡単だ。
風に左右されない海面直下のPEラインが
ボートの進行方向と平行に
しかも決めた角度で
海中に突き刺さっていることを
確認しながら漕げばよい。

図からもわかるように
海中に没したPEラインは
風ベクトルの直接の影響ではなく
潮流ベクトルと合成ベクトルの
差のベクトルに基づいて
海中に没しているために
道糸とボートの進行方向を平行に
かつラインが海面に突き刺さっている角度を
決めた角度に保つことが
タイラバを魚の真正面から
常に同じ速度で近づけられているかどうかの
指標になる。

これなら精度は疑問だが
一種の負帰還制御になっているので
安定性はありそうだ。

ラインが突き刺さる角度は
タイラバヘッドの重さ、PE ラインの太さ、
そしてその日流したいボートと潮流の
流れの速度差で決まるが
ここでは一定に保つ、

あるいはいろいろな速度でやってみる
ということにしておこう。

因みに本ブログの201384日の記事
2014227日の記事
シンカーの重さとPEラインをパラメータにして
潮流速度に対するPEラインの斜め度を
計算している。

これも五目漁師独自の計算によるものなので
正しいかどうかは??であるが、
追ってタイラバヘッドに対応するものを
計算してみようと思っている。

あくまでも
先の前提や条件における限りにおいてであるが
安易なドテラ流しは、場合によっては
とんでもない間違いを犯していることが分かった

潮流と風次第では
魚の後ろから攻めていることになるし、
PEの斜め度がきついからといって
タイラバヘッドを重いものに替えるのは
タイラバの接近速度を速めていることになり
果たして正しい解決方法なのかどうかは
これも大いに疑問がある。

さて、長々と
あてにならないことを書いてしまったが
要はさっさと海に出て
釣れればそれで良し。
釣れなければ退屈しのぎに
こんなことでも考えながら、
また考え方は良しにしても
実際にそんなボートコントロールが
できるのかどうかを試してみようと思っている。

*1:ついついラインを斜めに描いていたが
2枚潮などがないという条件下で無風の場合には
道糸は垂直になるので絵を訂正。(21.02.18 00:45)

 



どんどんと暖かくなってきますね。
伊東の海水温は未だに16℃台、
一日中一度も餌を盗られることもないような
静まり返る真冬の海の状況はないままに
春の海に向かいそうですね。
カイワリもハナダイも既に釣れ始めたようですし
そろそろ乗っ込み真鯛も楽しみです。

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2018年9月 4日 (火)

山立ての妙と限界(GPSに比べてどうなのか?)

(本件2012年12月3日の過去記事です。
コメントで計算書の要望がありましたので添付したところ
日付が戻らなくなってしまいました。
スルーして下さい。)

 

 

 


-以下本文-

私は哀しいかな
魚探などGPS機能を装備した最新兵器は持っていない。
(たまに借りて利用するくらい)

やせ我慢ではないが、
マイポイントを目指してボートで漕ぎ出す時には
山立ての方がよいと思っている。

第一、大海原に浮かびながら
十数センチ四方のディスプレイに目を凝らすばかりでは
イヤッホー!(イがついて山ではなく海用?)
と歓喜を発する機会も失ってしまう。

GPS受信機が表示するディスプレイ上の矢印を追いつつ、
ふと顔を上げると、
なんと同じところをくるくると回っていたりする。

山立ては元々、漁師さんや小型船の船長さんが
山々の稜線の重なり具合から自船の位置を確認した手法で、
海の男の壮大な道具であるように思う。

我々のように、特定の湾内を手漕ぎボートで移動する範囲では
山々の稜線の重なりに代わって、
地上の建造物(電柱やビルなど)の重なり具合を利用する。

GPSの精度は数十メートル以内といわれる。
これに対して、この大らかな山立て手法で
一体どれくらいの精度が得られるのであろうか?

簡単な計算でも大体のケタはわかるが
暇にまかせてちょっと真面目に計算してみた。

-1が山立ての原理図。

 

1s図-1

魚が良く釣れた場所で、
例えばボートの正面方向と横方向の景色の見え具合を覚えておき、
次からは両方向(見通し線)に同じ景色が見えるところで
ボートをアンカリングすればまた釣れる。

景色の見え具合の正確さを確保するために、
一般的には図のように、
ある程度距離が離れた二つの建造物の重なり具合を利用する。
また二つの見通し線の方向は直角の関係に近い方が良い精度が得られる。

-2aと図-2bは五目漁師がよく利用する伊東での山立て。

 

 

 

 

 

 

2as図-2a 伊東39mポイントから西方向を見る。

 

2bs図-2b 同ポイントから南方向を見る。

 

3-aと図3-bは上記とほぼ同じポイントへ入るために
ボート屋のオヤジさんが推奨する山立てである。
(オヤジさんの方がどう見てもまとも。)

因みに、私の山立てでマイポイントに入り確認したところ、
オヤジさんが推奨する山立ての絵とぴったり合って驚いてしまった。

 

3as図-3a 伊東39mポイントから北西方向を見る。

 

3bs図-3b 同ポイントから南西方向を見る。

さて、この山立ての精度がどれくらいのものか考えてみたい。
果たして近代兵器のGPSに比べてどうなのか?

-4は山立ての理想的なモデル図。
アンカリングポイント(自ボートの位置)から正面と真横のように
直角の関係にある方向において、
適当に離れて位置する二つの建造物の重なり具合
(図では二本の電柱を上から見た様子を●印で示した)を
山立て用の景色として確定する(以下ではこれを山立て図と称する)。

 

4s_2図-4

 

これは三角測量法の原理そのものであるから、
景色の見え具合が全く同じであれば
誤差なくいつも同じポイントにアンカリングすることができる。

高精度で管理されているとはいえ
地上約2kmGPS軌道に
宙ぶらりんで浮かぶ衛星からの電波を使って
同様の原理で測定するGPS魚探よりも
地上にしっかりと固定された景色(建造物)を利用する山立ての方が
原理的には正確であるが、ところがどっこいそうはいかない。
そこは少しいい加減な釣り師であったり、
五目漁師のようにやせ我慢で必要な眼鏡もかけない釣り師であったりで
誤差が入り込む隙はふんだんにある。

山立ての誤差要因の例を挙げてみると、

① ボートから対象となる見通し線上に
山立てに適した建造物があるとは限らず、
“ビルとビルを重ねてチョットずらす” とか、
“重ねてマンションの窓一枚分くらいずらす” などの
あいまいな表現になる。

(自分で景色を覚えるならまだしも、
釣れるポイントの山立て図は仲間から教えてもらったり、
貨しボート屋さんから教えてもらったりする聞き伝えのこともあり、
あいまいな表現は誤差の要因になる)

② 重ねる建造物の高さ位地が異なる場合
(例えば、海岸の電柱と山の上の一軒家など)は、
実際に重なるわけではないため、
重なった(垂直線上)かどうかの判断があいまいになる

③ 電柱と木を重ねると言っても、木には幅がありあいまいになる。
(せめて木の中心とか、木の右端とか言って欲しい。
木ならまだしも、こんもりした森とか言われるとこれはもうどうしようもない)

④ ボートを漕ぎながらの景色の同定作業であり、
こんなものでいいだろうといい加減にOK出しをしてしまう。
(この程度は釣り師によってまちまちで、
場合によっては一番大きな誤差要因になり得る。)

などなど・・

-5にはこのような誤差要因によって、
自ボートの位置にどのように狂いが生じるかを示した。

 

5s_2図-5

 

図に示したように、
景色の同定精度がeメートル(最大値)である場合には
自ボートは図中ハッチングで示した範囲内をうろつくことになる。

この図においては
二つの山立て図が正面と真横の理想的な場合について示したが、
誤差範囲は右下方向にいびつに広がる。

次に、山立てを図-6のようにもう少し一般的にモデル化し
定量的に誤差範囲を計算してみる。

 

 

 

6s図-6

 

計算は本来のボート位置を(xy=(0,0)とするx-y座標平面で、
誤差が生じた見通し線を表す4本の直線の交点
(線分abcd頂点)の座標を求め、
あとは本来のボート位置から各交点までの距離を
ピタゴラスの定理から求めればよい。


<代表的な計算結果>

-6に示したように、山立てのパラメータはすべて変数にしたが、
ここでは大まかな誤差を把握することが目的なので、
できる限り簡潔な条件で計算し、
また最悪値(例えば、図-6の距離b)のみをグラフには示した。

A. 山立てに利用する手前の建物と奥の建物の距離
(図-6中のs1s2に相当する)に対する
誤差範囲の変化


(計算条件:s1=s2e1=e2=2(m)d1=d2=600(m)
θ=90(deg)及びθ=70(deg)
グラフ表示はこの条件下においては誤差範囲が最大になる距離“b”のみ。)

 

8s_2図-7

 

結果:s1s250m以上あれば
見通し線間の角度が70度でも90度でも誤差範囲は50m以下におさまる。
逆に、s1s220mに満たない場合には100m以上の誤差が出る。

B. ボート位置から手前の建物までの距離
(図-6中のd1d2に相当する)に対する
誤差範囲の変化


理屈的には、上記Aと逆の効果を調べることになる。
(計算条件:s1=s2=100(m)e1=e2=2(m)
θ=0(deg)及びθ=70(deg)
グラフ表示はこの条件下においては誤差範囲が最大になる距離“b”のみ。)

 

9s_2図-8

 

結果:山立てに利用する手前の建造物が海岸近くにあるとすると、
そこからマイポイントまでの距離は
ほとんどのケースで1000m以内であると思う。
その時の誤差範囲はほぼ30m以内におさまる。

C. 見通し線間の角度
(図-6中のθに相当する)に対する
誤差範囲の変化


(計算条件:s1=s2=100(m)e1=e2=2(m)d1=d2=1000(m)
グラフは距離abcdについて示す。但しcdの値は同じ)

 

10s_2図-9

 

結果:θ=90(deg)で誤差の最大値が最小になり、
0<θ<90では距離bの誤差範囲が最大に、
90<θ<180では距離aの誤差範囲が最大になる。
θが90±20(deg)の範囲であれば、誤差範囲は30m程度以内におさまる。


以上、代表的なパラメータに対する誤差範囲の計算結果を
グラフにしてみたが、
エクセル計算表を片手に、
常に正確にパラメータを入力し誤差範囲を把握できるようにしておくほど
重要な問題ではないので、
これくらいで十分であると思う。

まとめとして、

① 自ボートの位置が同じであれば
二つの山立て図は正面と真横のように直交しているに越したことはない。
確定する二つの景色の方向の角度関係が90度よりも小さくなったり、
逆に広がったりするとボート位置の誤差範囲は大きくなるが
90±20(deg)程度以内であれば辛抱できる範囲であろう。

また、重なり具合で定義する景色の同定に利用される
二つの建造物の距離は離れているほど山立て精度は良くなるが、
あまり離れていると建造物が遠くなってしまい
同定精度自体が悪くなってしまう恐れがあり、
200m程度以上あれば十分である。
(私が利用しているビルの後ろの靴屋さんの看板は
ビルから20mほどしか離れておらずNG)

② ボート位置は潮の流れや風によって
アンカーロープの余長の範囲でぶれるため、
あまり正確さを追い求めても仕方ない。
(これはGPSでも同じ)

③ 魚は釣り師にも増してきっとおおらか(?)。
そんなに精度よく泳いでいるとは思えないので、
程度に合わせた正確さでよい。

山立ての精度はGPSと同程度か、利用の仕方次第ではそれ以上。
こんな素晴らしい海の男の手法を利用しない手はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*:コメント欄のご要求により
記事中の山立て誤差の計算書を下記に添付(2018年9月4日)

 

yamatategosa.pdf をダウンロード

 

 

 

 

 

 

 

 

適当にポイント外すのも山立ての味ですね。
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2016年12月17日 (土)

またまた完ボの福浦釣行

昨日(1216日)福浦に釣行。

兼ねてより、ブログにコメントをくださるgさんから
ボートで漕ぎ出すまでがいろいろ難しい福浦の案内を頼まれており、
それがやっと果たせた。

 

Dscf2948s

g
さんは初めての福浦で
初めてのティップランエギングをやるという。

五目漁師はエギングに関しては
自分が教えて欲しいくらいなので
ポイントの案内までに止め
自分でもエギングとジギングをやったが
またまた完ボで終わった。

gさんも同じくエギンボに終わったが
一パイ途中バラシがあり既にコツは掴まれたようだ。

ご一緒だったお友達はカワハギを狙ったが
どうやらカワハギはお留守だった。

さて、本日の釣り記事はここまで。



少し過去のことになり、
ほとぼりも冷めたころなのでこんな話題も
もういいかもしれない。

実は五目漁師はあるボート屋さんに於いて、
危険なボート釣り師の烙印を押され
自らも納得の謹慎の身である。

その日は昼頃に突然、南から腰の強い突風が吹き付けてきた。
寸前まで平和だった海面が一気に荒れ模様になり、
回りのボートが皆引き上げる中で
五目漁師だけが少し岸寄りに退避はしたものの
戻らずにパラシュートアンカーを入れて釣り続けた。

他のボートが上がってしまい
唯一海面に残ってしまったことで気は引けたが
ボート屋さんの退避指示もなかったし
(実は、あったがちょっとした手違いで
五目漁師のもとには届かなかったことが後でわかった)、
自分自身はこれくらいの風なら抗って漕げることも
その風の中で都度確かめていたし、
山越えの風のために海面自体はフラットで
危険を感じるほどではなかった。

また、天気予報通りならやがて静まるという判断もあった。
(結果論ではあるが、やっと上がれ!指示が届き
陸に上がった30分後には静かな海に戻っていた)

決して安全を疎かにしたわけではない。

若い頃にはディンギーやクルーザーで
強風や嵐の中を切り抜けてきた経験もあり、
自分なりに大丈夫という確信はあった。

 

Dsc076082asjpgこれは丁度良い風のセーリングではあるが

 

Alb91087s30ftクルーザーで嵐の中を西伊豆の妻良港を目指す。
これは既に少しやり過ぎ。


ただ、危険かどうかは釣り師のスキルや体力、
それに1人乗りか2人乗りかなどによって違ってくるので
ボート屋サイドとしては一番危なそうなボートを基準に
一斉撤退をさせることはやむを得ないと思っている。

撤退指示が私にも届いておれば
残念と思いながらも戻っていたのは当然のことである。

さて、危険な手漕ぎボート釣り師
という不名誉な烙印を押されたままでは気持ちが良くないので
自身が普段から安全に対して注意していることや
対処の一端を記してみることにした。

■先ずは何と言っても天気予報をチェックして
天気が良い日に出かけることが基本
(先に少し無理をした記事を書いたところでもあるが)。

五目漁師は幸いにして365日連休。
悪天を押してまで土日に出かける必要などは全くない。

Yahooなどの釣り場の天気予報は
便利なのでもちろん利用するが
(例えば伊東の釣り場とか真鶴の釣り場とか)
釣り場を対象にした局所的な予報では全体が把握できない。

関東一円の海が全体的に荒れ模様であっても
岬や山の影になって
局所的な天気予報では比較的静かな予報になることがある。

しかし、このような場合には、
一つ間違えば吹き出す恐れが大いにある。

そのためにWRF関東の風予報 GPV気象予報などで
関東一円の風環境を必ずチェックするようにしている。

■昔は何故か(多分気持ち的に)
2人でボートに乗る方が安心だと思い込み
弟や仲間と一緒に乗ることが多かった。

しかし、今は滅多に2人で乗ることはない。
2人乗りのボートが普段から重くて進まないのは当たり前であるが、
強風時には2人分の風圧を受けることにより
ますますきつさの度合を増す。

喫水が深くなったことにより当然波も被りやすくなり、
浸水の度合いも高くなる。

尤も、それを承知の上で沖に出て
悪天候に対してはより注意深く、
より早目の対処さえすれば
2人乗りだからといってイコール危険ということではなく、
結果的にお釣りがくることだってある。

ボート屋さんも退避指示を出す際には
これくらいは明らかに区別をしても良いのではないかとも思う。

■スターンやバウに立っての用足は清々しい。
男であることの値打ちを発揮する時だ(と思っていた)。

かっては五目漁師の得意技であったが
数年前にやめた。(今はバケツを持参)

老体バランスの悪さだけではなく
最近は女性釣り師の目が光っているので危ない。

■数年前に突然自動膨張型のライフジャケットが
水しぶきを少々上げながら漕ぐカヤックの中で
用もないのに膨らんでしまったことがある。

 

Imgp8749

落水したが膨らまないという逆でなくってよかった。
設計思想としてわからないでもないが、
元々五目漁師は自動膨張型のライフジャケットは
(自分でテストができないために)
信用しないことにしている。

泳ぎは得意。
途中でおにぎりさえ食べさせてくれれば
今でも1日中ライフジャケットなどなくっても浮いていられる。

しかしこれは水が温かくて身軽で人喰鮫がいない
という条件での話。

過去に泳ぎが得意だったクルーザー乗りが
ライフジャケットなしでかっぱを着、長靴を履いたままで
嵐の海に落水。
身動きができずにそのまま沈んでいった
という話を目撃者から聞いたことがある。

五目漁師は夏が終わり
身軽なTシャツとサンダルスタイルから
カッパと長靴スタイルに衣替えをすると同時に
自動膨張型のライフジャケットから
発泡スチロール浮力のライフジャケットに替えることにしている。

■これは多くのロープ(シート)を操るディンギーで学んだことであるが、
ロープなどは絶対に腕や足に巻き付けないようにしている。

ついついアンカーロープを腕に巻きつけたくなったりするが
そんな時にタイミングよく落水したりすると
たちまちグレートブルーの世界、
海底に向かって一直線が保証されている。

非常に危険な行為だ。

握力不足でロープを引く力が欲しい時には
ロープを折り曲げて二重に握るとよい。

■退避のために漕いでいる時には
定置網などの障害物からできるだけ離れたコースをとる。

抗いきれなくなって
ボートが風下側の固定物を押してしまうと
吸い付かれたように離脱が困難になる。

■パラシュートアンカーは流し釣りだけのためではなく
有効に利用できる。

不幸にしていよいよ漕げなくなるほどの荒天に
会ってしまった時にはどうするか。

嵐の中のボートはバウを風上に立てることによって
翻弄しながらも一番安定する。

パラシュートアンカーをバウから流すことによって
その方向は自動的に風上を保ってくれる。

パラシュートアンカーやシーアンカーがない時には
バウのロープにバケツでもタックルバックでもよい。

うねりがきつい時にはうねりに引かれないように
ロープも長目にして流す。

■更に、もっと不幸にして
ボートが転覆(沈)した時には
(これもディンギーでは何度も経験しているが)、
一瞬たりともボートから手を離さないこと。

ボートのヘリなどをしっかり握ぎって離さない、
あるいはボートに繋がっているロープなどを
しっかり握っておくこと。

強風の中で一旦ボートから離れてしまえば
再びつかまえることはできないと思っておいた方がよい。

ボートから離れてしまった釣り師は
波間に隠れてしまいレスキューが困難になる。

尤も、落水や転覆は嵐の中でよりも
寧ろ静かな海上で移動やアンカー揚げの際に
バランスを崩してがほとんどであろう。

幸いにして自分だけが落水し
ボートが転覆していない時には
(泳いだりしないで)
ヘリにつかまりながらボートのスターン側に回り込み
ズルズルっと這い上がるようにして乗り込めば
戻れる可能性はある。(服装や体力による)

■・・・読み直してみれば、
たかが趣味の釣りくらいでここまでと思ってしまうが、
行く時にはあっという間の出来事。

やっぱり一番はこんなことになる前にさっさと退避!
これが難しいんだよなと反省。

 

 

 

 




江ノ島海域でディンギーのレース中に嵐に合いほぼ全艇が沈。
レスキューも間に合わず自分の順番はいつになるかわかりません。
その時に体力だけが頼りと思い、
当時1日に30、40本も吸っていたタバコを止めるきっかけになりました。
たかが趣味、されど趣味。
わかっていてもついつい力は入ります。
いざとなったら体力ですね。

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2016年7月 8日 (金)

ヒラメの泳がせ釣り(その2)

前回は五目漁師の泳がせ釣りに関する
タックルや仕掛けについて書いた。

今回は引き続き、先ずは
③活き餌はどうしよう?:

泳がせ釣りで一番苦労するのは活き餌の確保だ。
ヒラメ釣りの乗り合い船では
食いの良い活きイワシを使うようだが
サブの釣りとして
置き竿で長時間放っておく手漕ぎボート釣りでは
長く元気に泳いでくれる小アジや小サバの方が良い。

かってはエサ屋さんで活きアジを買って行くこともあったが
最近は海上で確保することにしている。

高い(170円~200円の)活きアジが
活かしバッカンの中で泳いでいると
早くこれを使ってしまわないと
と気になってメインの釣りに集中ができない。

 

1img00271sエサ屋で買ってきた活きアジ


小アジや小サバが釣れれば泳がせをやってみよう
くらいの気持ちで
実は道具だけはきっちりと準備しておくようにしている。

 

2cas167569sタックルボックスの中にいつも準備している携帯に便利な活かしビク


それに、泳がせるアジでさえ釣れないようなポイントや時合いでは
それらを追っているヒラメもいないだろう
と割り切ることにしている。

尚、エサ屋さんでは15cm20cm弱の
いかにもヒラメが食いつきそうな小アジが手に入る
(尤も、アオリイカのヤエン用に買う人が多いと聞いている)が、
大きさを選べない現地調達の小アジは
結構大きいこともある。
しかし25cmくらいあってもどうやら食ってくれるようだ。
(葉山の座布団ヒラメなどは
30cm以上もあるカマスを泳がせると聞いている。)

泳がせアジの大きさは次の合わせ方にも無関係ではない。

さて、次はこれが結構難しい
④食わせと合わせ:

かっては頃合いを見計らって
オリャーと威勢よく竿を煽って合わせていたが、
どうやらこれはNG

グングンからグイーンと
穂先が海面に突っ込むような引き込みが来たら
ゆっくりと聞き合わせるように穂先を上げてみる。

すると絶対、いや恐らく、多分、少なくとも五目漁師のイメージでは
ヒラメはアジを逃すまいと
より深く、がっぽりと咥え直してくる、
ここで重量感を確かめてから
ゆったりとしゃくりあげるような合わせが良いように思う。

グイーンの引き込みがあっても
まだこの時にはヒラメがアジを半分だけ咥えた状態で
針掛かりしないままで竿と引き合っていることがある。

この状態でいきなりオリャーとやってしまうと
スッポ抜けてしまい
胴体が輪っか状に傷だらけの泳がせアジや小サバを
見せられることになる。

 

4dsxp151442s

 

5dsxp151869sヒラメが泳がせ餌の後部を咥えている時にオリャー! とやると
こうなる。



合わせを急がずにゆっくりと
まるでアジが逃げるように穂先を引き上げ、
慌てたヒラメがしっかりとアジを咥え直すタイミングを与えた方がよい。

大方の場合はこのまま向こう合わせで掛かってしまうが、
気になるようならダメ押しの合わせをここで入れる。
(改めて、全て五目漁師のイメージ)

逆にあまり悠長に構え
餌を胃袋まですっぽりと飲み込まれてしまうと
針をヒラメの口内に掛けてしまう。

これは先日釣ったヒラメの歯。

 

3cas167554s

人間と同じで歳をとった魚体の歯は本来の鋭さではなくなっているが
それでも針を飲み込まれて
この歯でハリスをギシギシやられてしまうと
8号ハリスを使おうが10号ハリスを使おうが
時間の問題で切られてしまう。

ハリスはヒラメの泳力で引き切られるわけではなく刃で切られるので
掛かった後は余り遊ばずにさっさと巻き上げた方がよい。

不思議なことに釣ったヒラメの口内に
小アジが残っていることはあまりない。

一旦咥え込まれたアジは
合わせによって口先まで引きずり出され
針がヒラメの唇に掛かると同時に外にはじき出されるのであろうか。

因みに、ハリスを噛み切られるのが心配なら
こんなワイヤーハリスを使う手もある。

 

6cas167582s

次は、
⑤泳がせ棚:

ヒラメが普段は海底にへばりついていることは
魚体の片方に寄った目と白い腹が物語っている。

しかし、ベイトを捕食するときには
結構ひらメひらメと舞い上がって来るようだ。

サビキで中層(底から約10m)の活きアジ釣りの最中に
ヒラメが掛かるというお得なことがあった。

つまり泳がせ棚は結構高くても良い気がする。

竿を手持ちで流す時には
捨て錘で底を確かめながら
活き餌が底から50cm1m程度を泳ぐようにするが、
置き竿の場合は頻繁に底を確認するわけにもいかない。

五目漁師は海底の凸凹具合にもよるが
ボートがアンカーロープの余長の範囲で動くことも想定し
根掛かりを避けるために
一般的には少し高めと思われるが2m3mは底から上げて
泳がせるようにしている。

中層のサビキに掛かって来ることを思えば
これでも決して泳がせ棚が高過ぎることはない。

⑥その他:

これは私が昨年まで使っていた貧弱な網を
見るに見かねてオーシャンのオヤジさんから
無理矢理に買わされた玉網。(枠は別)

 

7cas154222s隣の影の薄い青い網が古い網


余りにも大きくてしかも作りが良いために
持ち運び時にもボートの上でも邪魔になるが、
実によく働いてくれる。

この網を使うようになってからヒラメ5枚の他に
ブリクラスを含めワラサ5本、マダイ67cmをすくい
一度もバラシがない。

正に実力も縁起も良い玉網である。
玉網は大きければ大きいほど良いと思っている。

更に、ボートを流しながら泳がせ釣りをする可能性があるときには
こんなものも持っていく。

 

8cas167573s

ゴルフ用のパラソルで作ったパラシュートアンカー。

もう一つ大事なこと。
60cmを越えるヒラメは想像を絶する力がある。
やっとボート上にヒラメを上げてほっとしていると、
ジャンプ一発でボートの外に飛び出すほどの実力がある。

早々に〆て元気を削いだ方が良い。

また、片手でぶら下げて
自撮り記念撮影なんてことは絶対にやめた方が良いし、
元気がある内にクーラボックスに入れようとするのも浅はか。

ボートべりよりも高く上げた拍子に暴れられると
“さようならが悔しい”結末になってしまうこと間違いなし。

これも手漕ぎボートの特殊事情であろう。


さて、最後になったが
⑦ヒラメ釣りの外道:

泳がせ仕掛けに掛かって来るのはヒラメだけではない。
寧ろトータルするとヒラメ以外の魚の方が多い。

そこでヒラメ狙いの泳がせに掛かってきた大物を集めて見た。

先ず、泳がせヒラメの外道と言えば何と言ってもマトウダイ。

 

9splg140165s54cm(伊東)


色も形もヒラメと間違ってしまうが
美味しい魚なのでがっかりするほどでもない。

次はマゴチ

 

10cas133776s63cm(川奈)


そしてホウキハタ

 

11dsxp151288s49cm(川奈)


同じ棚で青物も掛かって来る。ワラサ

 

12dsxp162196s73cm(伊東)


ここからは本当の外道、
先ずは五目漁師が怖くてボート上に上げられなかったハモ

 

14splg140275s伊東(検寸なし)


巨大なエソ

 

15splg140163s64cm(伊東)


泳がせの常連ウツボ

 

16splg140180s伊東(検寸なし)


巨大ミノカサゴ

 

17pfx130186s川奈(検寸なし)


他に掛かりはしないがアオリイカに餌をやられることは多い。

 

Dsxp152078s

こんなところかな。




さて、ヒラメ料理の最後は刺し身で残った昆布締めのお茶漬け、

 

18cas167547s

カブト煮

 

19cas167559s

これで完食した。




だらだらと、とりとめなく長くなってしまいました。
繊細で個々のセンスが生きるコマセ釣り、
何が来るか楽しみな深場の流し釣り、
そして醍醐味とドキドキの点では泳がせですかね。
どれもこれも面白いですが。

で、次は私にとっては新しいスタイルのタイラバと
一つテンヤをやってみたいと予定しています。


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2016年7月 6日 (水)

ヒラメの泳がせ釣り(その1)

今までに何枚かのヒラメを釣ってきたが、
昨シーズンは3枚を立て続けにバラし悔しい目にあった。

1枚は途中バラシで姿を確認したわけではなく勝手にヒラメ、
1枚は手元まで寄せていながら
玉網の枠(直径50cm)の上で暴れられ、さようなら、
もう1枚はやはり玉網入れに何度か失敗している間に
ボートの底に潜られ、さようなら。

今思い出しても舌を噛みたくなるような悔しさが続いた。

しかし先日、
今シーズン(昨年の暮れから今まで)5枚目のヒラメを釣った。

 

Dsxp162527s今シーズン5枚目のヒラメ(67cm)


5枚は何れも伊東のボート釣りポイント。

カイワリが釣れなくなった一方で
伊東の海が従来以上にヒラメで賑わっていることもあるが
五目漁師がこのところの失敗を深く反省し、
合わせの空振りやバラシをなくすために
一工夫したことも功を奏していると思っている。(エッヘン)

そこで調子づいている今の内に
ヒラメの泳がせ釣りについて
あくまでも自分メモとしてまとめてみることにした。
(下書きを進めて行くとあれもこれもとどんどん長くなってしまったので
その1とその2に分けることにした)

順を追って、先ず
① 竿とリール:

五目漁師はたまに今日はヒラメ狙いと決めて釣行することもあるが、
大概はメインの釣り、例えば、
伊東ならカイワリ狙い、
大津ならアジ狙いの傍らで
泳がせ仕掛けの置き竿でヒラメを狙う。

活きアジを付けた置き竿が硬くて短いと
ボートの揺れで穂先がピコピコと跳ねるために
泳がせアジが疲れてしまうのではと気が気でない。

そこで泳がせ用に愛用する竿は
2.7m64調子、錘負荷15-80号の長竿。
これに30号か40
(ボートの反対舷のコマセ釣り等メインの釣りのビシと同じ重さ)の錘を使う。

この竿ならボートの上下動に一々反応せずに
静かにヒラメの食いつきを待ってくれる。

もちろん手持ちの流し釣りの際にはこの限りではない。

一方、リールはというと、
ヒラメは青物の様に走り続けたりしないし、
この釣りでは魚に引かれて切れるような
細い道糸やハリスは使わないので
ドラグ性能などはあまり気にしない。
23号程度のPEを巻いた両軸リールなら何でもよいと思っている。

ボートの揺れで泳がせアジを疲れさせない方法として
遊動仕掛けやエレベーター仕掛けも試したことはあるが
合わせがボケてしまうのと
前者については次の②の理由により五目漁師の場合にはNG
最近では使わない。

次は 
② 仕掛け:

今シーズンに入ってからは幸いにしてバラシがない。
実はこれにはちょっとした工夫がある。

 

Photo

図のaは従来の仕掛け、
baを改良(?)した現在五目漁師が愛用する極楽泳がせ仕掛け

aは市販の仕掛けを真似たもので全長が150cm程度になる。
bは何のことはないaの仕掛けのアフォさに気づき
aの幹糸部分をなくしたもの。

自作の場合はより簡単になるし、
もしaのような市販のヒラメ仕掛けを使う場合には
幹糸と悪玉サルカンは無用の長物なので切って捨てればよい。

但し、その代わりにPEの先端には
FGノットやPRノットで結んだリーダ3m4m程度)を繋いでおく。
(リーダーがPEの根ズレによる破断や
泳がせアジの絡まりを防ぐ幹糸の役目を果たす。)

こうしておけば幹糸の上端に
余計な悪玉代官、いやサルカンがないために
穂先から先に残すこと70cm+ヒラメまで竿で巻き上げることができる。

考えてみれば市販の仕掛けや雑誌等で紹介されている仕掛けは
マイナーな手漕ぎボート釣りのことなどは眼中になく、
海面から船べりまでの高さ(例えば2m程度)があり、
しかも仲乗りさんか船頭さんが
玉網入れを手伝ってくれる遊漁船での釣りを想定している。

今頃になって気づいたが、
それ故にaのようなアフォな仕掛けが許されるのであろう。

マダイは水面ではプッカと浮いて来る。
青物でさえ最後には観念したように比較的静かになる。
しかしヒラメは違う。
寧ろ、最後の最後に大暴れして
玉網に入ることを拒否する。

小心者の五目漁師はここで大慌て、
繰り返し玉網入れに失敗→バラシというパターンだ。

手漕ぎボートではこんな暴れ者を相手に
最後は片手で寄せて自分で玉網入れをしないといけない。
仕掛けの長さを極力切り詰めてbのようにしておけば
竿からハリスに持ち替えずに
竿を片手で操りながら寄せてきて玉網入れができる。

タイラバやエギング、ライトジギングでは
こうして極細PE0.6号~1号)で大物を上げるのが当たり前、
何故こんなことに今まで気が付かなかったのか
今更ながら自分のアフォさ加減に気づいている。

-次回③合わせ、④活き餌確保・・に続く-


さて、先日のヒラメはたまたま帰省してきた息子家族が
喜んで食ってくれた。 完食。

先ず、前日に続き懲りずに薄造り。

 

Cas167452a

ヒラメをメインにカイワリ、ハナダイ、イトヨリ、アジなども合わせて
9点盛りCas167473s_2息子は大葉が嫌いというので困った。
そこで大葉の代わりに二回りほど大きい焼き肉を包むエゴマをを使ってみた。
(ザル経:52cm)

 

 

 



泳がせ釣り、面白いですね。
次回は外道などについても書いてみます。

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2016年1月 7日 (木)

PEラインの号数はどう選べばよいか(その3)

年内に終わりたかった(その3)がとうとう年を越してしまった。

前回は実際の魚の引き力について調べたり、考えたりしてみた。

その力は魚の体重の2倍近くに及ぶことがあること、
しかし一方でその力は長くは続かず、
しかも魚が針に掛かった直後に限られることが
実験で示されていることも紹介した。

その間をなんとか耐え抜けば
細いラインで巨大な魚をものにすることはできるが
そこは釣り師の技量次第であろうと締めくくった。

大物の首振りや暴れに対しては
竿のしなりや釣り師の腕や腰の曲げ延ばし
などで交わすことができるが
ストロークが長い青物の突進に対しては
リールのドラグ機能に負うしかない。

ドラグの滑り出しをどの程度に設定するかも
不意の大物に対処す釣り師の技量の内であろうか。

名人釣り師なら獲物とのやり取りの中で
ドラグを締めたり緩めたりしながら
奴を次第に追い込んでいくが、
始めからラインブレーク寸前で
ドラグが滑り出すように設定しておくのも有効だ。


そこで、今回はドラグの設定を中心に考えてみたい。

おもしろいもので、
ドラグが出て行くという状況下は
釣り師のライン強力が魚の引きに負け
その立場が劣勢である時であるにも関わらず、
あのククックーというドラグの滑り音や
ジリジリジリというドラグサウンドを聞くと
釣り師は勝ち誇ったように奮い立ってしまう。

さてそのドラグの設定は
PEの強力の1/31/4が適当とよく言われるが
その根拠は如何に。
(五目漁師は腐っても元エンジニア、ハイッ!これですよ
と結果の数字だけを言われたところで
根拠がわからなければ鵜呑みにはしない)

で、ここは自分なりに検証してみよう。

ビシ釣りのラインシステムと違って
タイラバやエギングのそれは単純明快である。
つまり図に示すようにPE→リーダー→タイラバ(またはエギ)の3要素と
これらを接続する結びを考えれば良い。

 

Photo_3

根掛かりした場合にPEの高切れを防ぐために
通常はPEの強力>リーダの強力
(例えば、PE1号ならフロロカーボンやナイロンのリーダーは
2.5号、または最大でも3号)とする。

五目漁師はPEとリーダーのつなぎにはFGノット、
リーダーとタイラバのつなぎはユニノット、
エギを頻繁に交換するエギングの場合には
パロマーノットで結んだ小型のスナップサルカンを経由して
エギをつないでいる。

結びの結束強度に関しては
ネット上にラインメーカーのものを始めとして
個人ブログの実験結果などが多くあるが、
結構ばらつきが大きい。

ここではFGノットは80%、ユニノットは75%としよう。

今、具体的にリーダを2.5号フロロカーボンとすると
その強力は4.5kg
一方、PEAVE.強力は6kg程度であるから
この場合のリーダーのPEに対する強力比は4.5/675%)程度である。

更に結束強度が75%のユニノットを含めたライン全体の破断強力は
PE(AVE.強力)のそれに比較すると0.750.7556%)となり
ユニノットのリーダー側でラインブレークすることになる。

さて、五目漁師は今回こんな実験をやってみた。
(本来、こんなことはメーカがもっとちゃんとしたデータを
公表すべきであると思っているのにないので)

つまり、穂先ガイドから魚側のPEにかかる張力と
リールのドラグを滑らせる張力との関係を
実際に調べてみた。

大物に引かれるPEは穂先ガイドから
幾つかのラインガイドを通してリールに導かれる。
PEの張力はPEがラインガイドと擦れることによって
次第に張力を減衰しながらリールのスプールに到達することになる。

 

Photo_2

メーカーのドラグ設定方法では
竿にリールを取り付けた状態で
PEをガイドに通して、竿を使用状態と同様に立てて
ドラグを設定をすることを進めているのはこのためだ。

しかし、こうすれば直接引き出した場合とどれほどどう違うか
(つまりラインガイドとの摩擦によってどれくらいに張力が減衰するのか)
の説明やデータはない。

この実験をやるために五目漁師は昨年末に
Amazonでこんなものを買った。

 

1cas165808s

最大40kgまで測れるデジタルスケール。
消費税、送料込みで一個520円。

街の釣り具屋さんで買う(もちろん商品は別物)のに比べると
申し訳ないほど安かったのでついつい二つ買ってしまった。

試しに、2Lのアクエリアスのペットボトルを
2つで計り比べたところ2.065kg2.025kgを表示した。
その差は40gで十分な実用精度はありそうだ。

先ず2Lのペットボトルに水道水を入れて2kgになるように調整する。

 

2cas165778s

次に、こんなふうにリールの代わりにデジタルスケールを
竿(シマノ、ライトゲームSSモデラートType73H225、標準錘負荷30150号)
に取り付けてペットボトルを持ち上げてみる。

 

3cas165795s

重い。

想像以上に重い。
エッ!2kgってこんなにあるのという感じ。
竿を水平に保とうとすると腕が震えてくる。

スケールのメモリを見ると1.71kgと表示されている。

 

4cas165797s

主にPEとガイドとの摩擦によって
2kg相当の張力が1.7kgに減衰したということだ。

次にもっと竿を煽ってみる。

 

5cas165786s

ヒエー竿が折れる。
最初はブリに近づけるために
ペットボトル2本をぶら下げようかとも思ったが1本でよかった。

これで2kg??
魚体10kgのブリとまともに引きあったら
一体どんなことになるやらと思ってしまう。

この時のスケールの指示は1.5kg

 

6cas165800s

竿の湾曲によって
PEとガイドの摩擦が更に大きくなり
ドラグを引くPEの張力は益々弱まっている。

この程度はもちろんPEの表面の滑り度合いや
ガイドの数、竿の曲がり特性等によって変わって来るであろうが
ここでは摩擦によって減衰した結果残った張力
(残張力度とでも言おうか)を
1.5/275%)~1.7/2(85%)程度としておこう。

もちろん魚が突進する方向に竿全体を向けて
ラインと竿が一直線になるようにすれば、
この値は2/2(100%)になる。

卓越した釣り師は
こんな数字は一々計算しなくても体が知っており、
やばいと思えば
竿を魚の突進方向に寝かせてドラグを滑らせる、
少し余裕があると感じた時には
竿を立ててドラグの滑りを防ぎ魚を弱らせる。
とこんな動作が想像できる。

全体的に整理してみよう。

リーダを使用することによって
既に述べたようにラインの破断限界強力は
PEの強力の56%に落ちている。

ドラグを滑らせるPEの張力は
主に竿のラインガイドとの摩擦によって
海中にあるPEの張力に比べると75%~85%に減少する。

更に例えばPE1号の破断限界の平均値(6kg)は
最大値(8kg)75
DUEL HARDCORE 4の場合)であることを考慮すると、

ラインが切れる寸前にリールのドラグを滑らせるための設定は

PEの最大強力の0.560.750.750.315倍となる。

例えば最大強力が8kgPE1号を使ったラインシステムが
魚の引きで切れる前にドラグを滑らせるためには
そのドラグ設定を80.3152.8kgにしておけば良いことになる。

以上は五目漁師が独自に見積もった数字であるが、
奇しくも最初に根拠がわからないと言った
1/31/4の数字が妥当であることを示している。

この値にドラグの滑り出しを設定しておけば
例としてあげたラインが獲物の突進によって
基本的に切れることはないということであって、
獲物が上がるかどうかは全く別問題である。

この値は、言わば釣り師の腕が悪くても
ラインを切られずに済む設定であり、
獲物が根に逃げ込んだり、
アンカーロープに巻きつくのが避けられる設定ではない。

逆にこの値以上にドラグを締め込んだ状態で
魚が竿のシナリや体勢の入れ替えで
対応できる以上のストロークで突進すれば
腕のいい釣り師でさえラインブレークが起こってしまう
ことも意味している。

ふーっ!
やっと長い話が終わった。

最後に(その1)~(その3)の総まとめをやろうと思ったがもういいや。

要するに細いPEによる釣り心地を満喫しながら
突然掛かった想定外の大物との勝負を
絶対的に有利に進められるPEの号数選択などはなく、
そこは釣り師の技量と運次第
(魚が知ってアンカーロープに巻き付くなら
運が悪かったではなく負け)
という当たり前の結論になる。

それでも五目漁師としては
自分なりに納得が出来たので今後は迷わず自分の腕を磨くのみかな?

 

 

 





こんなつまらない記事に最後まで付き合って下さった方は
極少数、いやいないかな?
途中まででもいいです。
いつもの通り、これは違うぞ!おかしいぞ!
などのご意見があればよろしくお願いします。

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2015年12月26日 (土)

PEラインの号数はどう選べばよいか(その2)

エギングやタイラバをやりだしてから
PEラインの太さが気になり始め
いろいろ悩んだり、考えたりすることについて書き始めた。

 

Cas155554sエギングではPE0.8号を使う。

Cas155553sタイラバではPE1.0号を使う。


暇まかせのつもりがどんどん深みにはまる一方で、
だらだらしている間に途中で釣行が入ったり、
挙句の果てに旅行があったりして
ストーリーがまたバラバラになり振り出しに戻ってしまった。

いい加減にまとめてしまわないと・・・

前回(その1ではPEラインの号数が意図するところに関して調べ
五目漁師流に納得した。

エギングやタイラバでは
底取りの容易さやアタリ感度の良さを求めて
次第により細いPEを使いたくなってくる。

もちろん、PEが魚の引きに耐えられる強力は
その号数に比例して小さくなっていく。

ここが釣り師の悩みどころだ。

そこで
今回は、
一体どこまでPEの号数を落とすことができるか
について
またまた五目漁師流に考えてみることにする。


奇しくもボート釣り趣味人たけちゃんが
豊富な経験に基づき
手漕ぎボートでワラサやブリを狙う際の
ラインの太さに関するノウハウを披露している。

一方、大きさよりも寧ろ美味しい魚を求めて
五目釣りが主体で大物経験に乏しい五目漁師は
どうしても理屈っぽくなってしまう。

その1)で例に挙げたPE0.6号の破断限界強力は
平均で3.6kg程度だ。

これで10kgのブリを果たして上げることができるであろうか。
ズバリ答えは、

できる。
理論的には0.1号でも10kgのブリを釣り上げることは可能だと思う。


極端な話、
陸上でぶら下げればこのブリは10kg
もちろん、0.6号では切れてしまう。

しかし、死んでしまって海面にぷかぷか浮かんだ状態では
少なくとも重さは感じなくなってしまう。

そう、ブリを弱らせて死んでしまうまで待てば
0.1号のPEでも10kgのブリを上げることはできる。

もちろん、最後には玉網やギャフのお世話になるが。

問題は針掛かり直後の元気なブリが
一体どれくらいの力で引くかであろう。

海中では浮いているとはいえ
10kgという体重による慣性質量によって
ブリの首振りの力は一方的に穂先に伝わってくる。

首振りの後に底に向かって一気に突進されようものなら、
もうドラグの滑りは停まらない。

手元に伝わってくる力はブリの体重をベースにした筋力、
それに魚体や尻尾の形に依存する遊泳力に負うところが大きい。


ボート釣りで対象になる大物と言えば
ワラサやブリ、それに大真鯛。

一体これらの魚はどれほどの力で引くのであろうか?

ネットで調べてみると
先ずは
“教えて!~”的なQAのコーナーで
0.6号のPE10kgのブリを釣り上げたことがあるとか、
魚の引きはその体重の1.5倍から2倍に及ぶという回答が見つかった。

10kgのブリなら最大引き力は20kgにも達するということだ。

もっと調べて行くと、
専門的な記事では魚の遊泳力に関する論文や研究成果が多い中で、
正に今回の疑問にヒットする実験報告が見つかった。

この報告では体長が50cm程度、体重が1.78kg程度の
マスノスケとニジマスを試験魚として
実際にルアーロッドで釣り上げ
その時の張力(引く力)や強い引きの回数、
それに強い引きの継続時間などを統計量として調べている。

その結果、
瞬間最大張力はニジマスで28.3N
マスノスケで23.7Nであったという。

ここで、Nはニュートンという単位で
わかりやすいように陸上の重力場での重さ相当に換算すると
それぞれ2.9kg2.4kgということになる。

引きの力は体重の1.3倍から1.7倍といったところだ。

興味深いのは、
この最大張力の殆どは針掛かり後の70秒以内に起こっており、
150秒後には1/5程度以下に落ちているということだ。

ふむふむ、この70秒間をなんとか持ちこたえられればよいわけだ。

浅はかなこととは重々承知であるが
こんな計算は目安としてどうであろうか。

なんとかの一つ覚えのように、
PEの斜め度を計算した時に使った
あの抗力の計算
を利用してみよう。

水中で泳ぐ魚はこの抗力に立ち向かって泳いでいる。
泳ぐスピードをどんどん上げて行くと
その速度の2乗に比例して彼は顔面に強い抵抗を感じるに違いない。
そして、彼の筋力を最大限に発揮しても
打ち破れない抗力と遊泳力が釣り合ったところで
最大スピードに達する。

あいにく釣り針に掛かった魚は前進はできないが
一生懸命に前に進もうとする遊泳力は変わらない.。

(丁度スポーツセンターでランニングマシーン上を駆ける
虚しいランナーの姿を思い浮かべればよい)

つまり、最大スピードで泳ぐ時の抗力
D=(1/2)・Cd・ρ・S・V^2 (ここで、^は累乗を意味する)
を計算すればこれが魚の引きの力と言えそうな気がする。

もちろん、この力の持続時間は瞬間的であり
そのタイミングは魚が釣り師の針に掛かったことを認識した直後
であろうことはマスノスケによる上の実験でも確認されている。

今、仮に体長1m、体重10kgのブリの
最大遊泳スピード(V)60km/hとしよう。

このブリを真正面から見た時の頭部の断面積(S)
(直径が20cmの円型とすると)0.13m2程度であろうか。

一方、新幹線の先頭車両や飛行機の形は
あのサバ野郎の体型を参考にしていると言われるほどに
この種の魚のCd値(抗力係数)は優れており
0.0040.007とも言われている。
(但し、サバは嘘。イルカやマグロは参考にしても
誰もサバ野郎を参考にしたりはしない)
ここでは安全サイドを見て仮に0.007を採用する。

最後に海水密度(ρ)を1024kg/m3として、
この時の抗力を計算してみると、

130N、先と同様に陸上の重力場で感じる重さ相当に換算すると
13kgということになる。

なるほど、まんざらでもない結果ではないか!?

この計算がまんざらではないとなると、
次のような応用計算ができる。

例えば、同じ種類の魚の最大遊泳スピードは
体長に比例して速くなると言われている。

先ほどの例では体長が1mのブリの速度を60km/hとした。
すると、70cmのワラサの最大遊泳速度は600.742km/hとなる。

一方、体長が短くなった分に相当し
頭部の断面積は約半分(0.7^2)になる。

これらの値を代入し、
先の式を計算すると
70cmのワラサの引き力は1mのブリの約1/4の3.2kgということになる。*1

一方、鯛の最大遊泳速度がどれくらいなのかに関しては
意外に資料がない。
例えば、遊泳スピードは同じ体長のブリの1/2程度、
体長は80cmとすると
1mのブリに比べて鯛の引きは16%程度、
つまり1.8kgにしかならないことがわかる。

ただ、鯛の場合にはストロークの長い突進スピードよりも
体重を起点にした首振りによる
ストロークの短い引き力の方が大きいのではと考えられので、
この数字を見て、鯛ならOKと安心するのは早いかも知れない。

言いたいことは、
引く力が20kg弱にも及ぶかも知れない体重が10kgのブリであっても
0.6号のPEで上がって来るということだ。

先に死んでしまったブリなら水中での重さはないと言った。
つまりPEの強力限界は
ブリと真っ向から勝負するために必要なものではなく
ブリを弱らせるために必要な数字と言うことができる。


遊漁船のブリ釣りでは5号とか6号のPEを使うと聞いている。
これはブリが掛かったら引きを楽しむなどと悠長なことを言っていないで
さっさと上げてしまわないと
他のお客さんに迷惑を掛けてしまうからに他ならない。

それでもPE6号は太過ぎると思っていたら
なんと、隣の釣り師のPEと絡んで擦り切れることまでを
考えた上での太さでもあるらしい。

一方、同じ大きさのブリを
自前のボートや手漕ぎボートで上げる場合には
細いPEが切れない範囲でブリを泳がせて
次第に弱って来るのを待って上げればよい。

細いハリスでワラサを40分も掛けて上げる釣り師もいるし、
私がたまたま今夏に掛けたブリは
PE2号、ハリス5号で約20分掛けて上げた。

水深40mで暴れまくったブリも次第に力がなくなり
タモ入れの時にはぐったりしていた。

ブリを泳がせて弱ってくるのを待つと言っても
元気な内に潜られて根に入られてしまったり、
自艇のアンカーロープに巻き付かれてしまったりすると万事休す。

現に、五目漁師が上記のブリを上げた時には
その10数分前にも同様なアタリと引きがあった。
この時は迂闊にもドラグの締め込みが不十分で
あっという間に根に入り込まれバラしている。
(下手くそな釣り師の例)

こんなことにならないように、
PEの強力限界が許す限りにおいて獲物と引き合い、
突然の引きに対しては竿の弾力で逃げたり、
リールのドラグを滑らせて対処するのが釣り師の技量であろう。

0.6号のPE10kgのブリを見事釣り上げるか
2号のPEでも切られてしまうかは
つまるところ釣り場の環境
(根やロープがあるいかどうかなど)を知った上で
竿の弾力やリールのドラグ機能を余すことなく駆使して
体重以上の引きで攻めてくる魚に対処する
釣り師の技量次第ということになる。

つまり、
10kgのブリを釣り上げるために最低限必要なPEの号数などは
決まってはいない。


漠然とした結論になってしまったが、
次回はPEをぶち切る勢いで走る魚の引きを交わすために
有効なリールのドラグ設定や
竿の操り方などについて考えてみることにする。
あくまでも五目漁師流に。



*1:体長が1mから70cmに短くなったことにより遊泳スピードが
0.7倍になると同時に、頭部の断面積は0.7^2倍になります。
当初、頭部の断面積が小さくなることの考慮が抜けていましたので
ワラサの引きが6.5kgになっていましたが、3.2kgに修正しました。

 

 

 

五目漁師が大物釣りを論ずるには無理があリますね。
長く考え込んだ割にはとりとめのない記事になってしまいました。
しかし、乗りかけた船、次は実験を交えて
竿さばきやドラグ設定について考えてみたいと思っています。

前回同様、ご意見がいただければありがたいです。

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