タナセンサー150Hを分解メンテする
ダイワの廉価版リールタナセンサーが
一昨年後半に一新された。
使っていたiit`s ICVの調子が良くなかったので
昨年3月に同じ用途で買い替えた。
新型タナセンサーの中でもこの150型は、
従来のタナセンサーとは似ても似つかぬモデルで
250型や300型と比べると
小型でスタイリッシュ、
しかも、この価格で4つもベアリングを搭載しているとかで
(店頭では)実に気持ちよく回ってくれた。
その代わりなのかどうかは分からないが
他のモデルがドラグにATDを採用しているが
このモデルはUTD(?)のようだ。
気になったので糸巻きの後に
ドラグの調子をみてみるが
初動も滑らかでこれなら問題なさそうだ。
しかし、しかし
実釣数回目にして
ハンドルの回転で異音が発生、
しかもドラグが固着してしまって
引き出せなくなってしまった。
(因みに、釣り後は他の愛用リールと同様に
シャワー洗い、乾燥を実施して
大事に大事に可愛がっていたのに。)
この手のリールには保証書は付いていないが、
恐らくメーカーに文句を言えば、
従来の経験からして
あの時期なら無償修理だったと思うが、
どうせまた直ぐにと考えると、
思い切って自分でメンテすることにした。
先ずはサイドプレート(ハンドルが着いている側の蓋)を外すために、
外から見えるネジ(表側に2つ、後ろ側に1つ)を外す。
普通ならこれでプレートは外れるはずだ。
なのに、引いても、回しても、隙間にドライバーを突っ込んで
少しコゼってみても外れない。
実はここまでは過去に2回やって、
いずれもここで諦めている。
今更文句を言うわけにもいかず、
今回は壊れてもいい覚悟で
3回目のチャレンジだ。
なんとしてもサイドプレートを外したい。
そこで、真剣に組立図を見直す。
すると犯ネジが見つかった。
これだっ!
外から見えないところにもう一つネジがあるようだ。
うーん、どうやらこのネジに到達するためには
LEDカウンターが着いている上部のICモジュールカバーを外さないといけない。
このネジを外せば、
4番目のネジを隠しているICモジュールカバーは外せそうだ。
こんな細ネジ一本で?
と思いながら外してみたが、
案の定カバーはびくともしない。
ここで再び諦めかけたが、
もう一度図面を見直してみると
どうやらモジュールカバーと本体がガッツリと篏合されているようなので
爪を繋ぎ目に立てながら
壊す覚悟で押さえつけながら手前に引いてみる。
すると、クッ! わずかに動いた。
ガタッ! 一瞬にしてばらけたので壊したかと思ったが
ICモジュールが飛び出すとともにカバーが外れた。
そして、こいつだ、
隠れていた4つ目のネジ。
やっとサイドプレートが外れた。
サイドプレートを外すのに
ここまで苦労したリールは
今まで見たことがない。
廉価版を極めるために
構造上こうならざるを得なかったのか、
それとも容易に開けさせないための意地悪なのかはわからないが、
ここまでくれば後は慣れている。
基本的な構造は従来と同じだ。
ただ、このブログでも何度か話題にしたことがあるが
直ぐに調子が悪くなるクラッチの構造は
従来品(it’s ICVなど)とは大幅に変わっている。
期待がもてそうだ。
さて、これが問題のドラグディスク部だが
上部のクラッチリングとの接触部分が
さび付いて固着してしまっている。
ネジ緩め剤やCRCをスプレーしながら
やっと外す。
そして、ドラグディスクワッシャーを外すと、
これはびっくり。
鳥の糞ようなものはどうやら塩の様だ。
これではドラグが上手く滑るはずがない。
それにしても10回そこそこの使用で
こんな風になるなんて、ちょっと酷いのでは。
ドライブ軸の回転で道糸から絞り出された塩が伝わって
入って来るのではないだろうか。
一通り掃除したが、
今度はドラグの肝とも言えるドラグワッシャーが
ドライブギア面に固着してしまっている。
材質が柔らかいので
注意しながら時間を掛けてめくりあげる。
ドライブギアの後ろ側ににも
同様に2枚のワッシャーがあり
両側からドライブギヤを締め付けることで
ドラグの役目を果たしている。
当然のことながら
後ろ側もひたすらに汚れていた。
ドラグ回りが分解できたので
各ワッシャーにはドラググリスを塗布、
ドライブギヤはパーツクリーナーで清掃して
専用グリスを塗布、
ついでにベアリング部にもグリスを塗布し元に戻す。
さあ、どうだ!
素晴らしい!
ドラグの滑りも、
スプールの回転も新品同様、
いや
ドラグの滑りはそれ以上に良くなった。
というか、滑り過ぎて恐らく最大ドラグ力は低下しているだろうが
特大魚を狙うわけではないので
良しとしよう。
ただ、これって、
リールが根本的によくなったわけではない。
グリスの塗布でしばらくは持つかもしれないが
また割りと早い時期に同じ状況になるのは目に見えている。
もちろん、今回の様に
サイドプレートを外してやるメンテナンスは自己責任であるが、
数回使っただけで
お金も時間もかかるメーカのメンテナンスはありえない。
もっと安く速くするか、
一層のこと
各自で容易にメンテできるように
ワンタッチでプレートが解放できるようにしてしまった方が良いような気がするがどうだろうか?
良く回るのも、良く滑るのも店頭だけ、では困りものですね。
安いなら安いなりの作りがあると思います。
恐らく250型や300型がそうでしょう。
旧型を持ってますが、ゴロゴロとスマートではありませんが
故障知らずで良く回ります。
150型は見栄え勝負ってところでしょうか。
風が吹いたり、いい日には年に一度の健康診断が重なったりで
なかなか出られません。
水、木あたりは良さそうですね。
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こんにちは。
リールメンテナンスですね!
高価なリール程自身でのメンテが困難になるので私が安いリールを使う理由がメンテできる、壊しても諦めがつくという点です。(いえ、本当は良いタックル欲しいのですけど悔しいのでそう自己暗示をかけています)
故障の原因、大敵はやはり塩。ですので私は分解前提ですが、釣場から真水に浸けて持ち帰ります。自宅に帰ってその日にメンテできない時はぬるま湯に浸けたら出したりしてリール内の塩分を極力薄めておきます。メーカーでは推奨されない方法ですし、特に高精度のリールだと水は入るけど抜けないこともあり水を媒介にして酸化や塩化を増長するかもしれませんから良い方法では無いと思います。
個人的には市販時のグリスやオイルは少なめになっているような気がしますのでたっぷり目にすると部品へのダメージは減るような気がします。あれ、、、という事は私はメンテでお金がかかっている?!のかもしれません。
確かにドラグについては円滑に動くようになるので張力限界点が下がるかもしれませんが、限界状態で使うとドラグ部に付着するオイルが逃げるようで直ぐ元の状態に戻るかと思います。
しかし、ベストは五目漁師さんのように良いツールをメンテして使うことだと思います。更に長持ちするでしょうし精度が高い物の方がやはり信頼が持てますよね。
投稿: まっく | 2020年3月22日 (日) 13時53分
まっくさん、こんにちは。
これを見ると、仰るように一層のこと
水に浸けて塩だしした方がよいかもしれないですね。
オイルが洗い出されたら塗ればいいですが
錆は直らないですから。
ダイワの廉価版LEDE付リールは製品名やベアリングの数は変わっても
当面はこの構造が続くでしょうから
自分でメンテできるようにしておくのもよいと思います。
スプレー式のオイルやグリスは使いやすいですが
プラケース入りのが安くていいですよ。
投稿: 五目漁師 | 2020年3月22日 (日) 17時13分
なるほど、グリスが必要な訳です。
グリスは厄介物で、塩と混ざって固着の原因にもなりますが、ギアやワッシャーに塗らないわけにいかない必須アイテム。
防水機能を上げるには海水が入る隙間を極力狭くするしかないですが、値段を押さえるには型検査の誤差範囲をせまくしきれない。
メーカーは二律背反の要求をされることになります。
そうなると分解しやすい機構にしてはどうかとなりますが、分解のしやすさは改造されやすくすることになるので、別のライバル会社が現れる元になります。
本当に痛し痒しのギリギリの線でメーカーはのたうちながら製品を出している気がします。
投稿: AP | 2020年3月23日 (月) 23時50分
APさん、おはようございます。
劣悪な環境とはいえこれはちょっとお粗末すぎますね。
海水で濡れた道糸を巻くだけでどんどん塩水は侵入してきます。
それは避けられないので水抜きの穴まで設けているわけですから
やはりもう少し綺麗に塩抜きしないと駄目でしょうね。
長い物作りと販売の経験から得たノウハウが
この値段だからこれくらいの物が丁度よいでは悲しいですね。
投稿: 五目漁師 | 2020年3月24日 (火) 06時21分
いいなぁ 器用で
私に分解組み立ての能力が少しでもあれば
ちょっとした部品は作れるし 改造なんて事も
さて海水が入り込むのは困りものですね
邪魔にならない隙間に薄いパッキン的な物や
粘性が高いグリスで埋める事が出来るといいのだけどね
投稿: マリン・ブルー | 2020年3月24日 (火) 08時58分
マリン・ブルーさん、こんにちは。
いやいや、器用じゃないとマリン・ブルーさんのお仕事は務まらないでしょう。
それにあの立派な野菜作りにしても。
塩対策はメーカなりに色々やってますが、コストもかかるし
技術的にもなかなか難しいようですね。
でも上級機は10数回の使用ではこんなことにはならないですよ。
投稿: 五目漁師 | 2020年3月24日 (火) 16時10分